Mon Cachette vol.05 ファシリティドッグのお仕事

cachette(カシェット)とはフランス語で “隠れ家”の意味。犬や猫たちの居場所を拝見するシリーズMon Cachette(モン・カシェット)、今回も特別に病院を舞台に活躍するファシリティドッグ、アイビーが自らの仕事を語ります。

 

 

vol.05 アイビー(ラブラドール・レトリーバー、2歳)

 

こんにちは、アイビーです。2017年にカリフォルニアで生まれました。シアトルで基礎的なトレーニングを積み、2018年からは日本でファシリティドッグとして働いています。

ファシリティドッグとは何かって? 簡単にいえば、施設の専属で働く犬のこと。以前、ドイツの学校で仕事をする犬がこのcachetteでもご紹介されていましたが、彼らもファシリティドッグの一種です。でも、私の職場は病院。それも、重い病や障害をかかえたこども専門の病院です。

現在、日本の病院専属で働くファシリティは10頭足らずですが、国際的な認証を得ているのは私と私の仲間の3頭だけ。毎日、10時~17時までそれぞれの病院に“出勤”しています。

出勤したら、まず身体をきれいに拭いて清潔に保ちます。といっても自分ではできないので、いっしょに暮らしている看護師資格をもつハンドラーさんにやってもらうの。お尻や足の裏まできれいに拭いてからこどもたちの病室をたずね、いっしょに過ごすのが大切な仕事です。

大好きなお散歩コースは自宅周辺の根津や上野なんだ。根津神社や不忍池など意外に緑がいっぱいあって、お散歩にはとってもいい環境なんだよ。

一緒にいるだけなの?とよく聞かれますが、そう、一緒にいるだけなんです。こどもたちにとっては、病院は痛い思いをすることの多い辛い場所。医師や看護師に出会うと「何か痛いことをされちゃうのかな?」と不安に思ったり、身構えたりするこどもが多いなか、わたしたちファシリティドッグに出会えば、みんなが笑顔になってくれます。背中に大きな注射針を刺す辛い処置のときにはずっと一緒に添い寝をするし、手術の前も、お母さんやお父さんが「行ってらっしゃい」したあと、本当にオペが始まる直前まで一緒にいて、緊張しているこどもたちを励まします。

添い寝は「Snuggle(スナッグル)」というコマンドでハンドラーさんが指示を出してくれるんですが、ベテランになると、本当に眠ってしまうこともあるんですって。私もあたたかいベッドの上でこどもたちにやさしく撫でてもらうとついウトウトしちゃう。

東京都立小児総合医療センター内キッズルームにて。シャイン・オン!キッズ提供

コマンドはほかに「座れ」、「待て」など基本的なものはすべて理解しているし、だいたい60個くらい学んでいます。病院で働く私たちに特徴的なものといえば、たとえば「Kiss(キス)」。私たち犬族はご存知のとおり、大好きな人の顔をついペロペロ舐めたくなってしまうものですが、やはりヨダレは衛生上ちょっとよろしくないということで、舐めるかわりに鼻先をチュッ♡とするんです。愛情を示された人もうれしいし、私たちもペロペロしたいという本能的な欲望を代替することができるから、ストレスが溜まりません。

「キス」のコマンドで鼻先をチュッ♡とするアイビー。

あとは「Shake(シェイク=お手)」。もちろん通常は前足を出すのだけれど、足の裏も衛生上望ましくない(もちろん拭いてますよ!)ということで、「Say Hello(セイ ハロー=こんにちは)」のコマンドで足の代わりにあごをそっと乗せてあげるの。これもみんなに人気のポーズですね。

勤務時間中は1時間病室をまわってお仕事したら、次の1時間は自分のために用意された個室で休憩。私たちなりに気をつかっているから、こまめに休んでリラックスするのが長く仕事を続ける秘訣かな。

仕事が終わったら? 一緒に住んでいるハンドラーさんとおうちに帰ってまたリラックス。だいすきなごはんを食べて、お散歩して、朝までぐっすり眠ります。たまに、私が所属しているNPO法人シャイン・オン!キッズの村田さんのおうちへ週末ステイして、束の間のバカンス気分を味わうこともありますよ。

シャイン・オン! キッズは小児がんや重い病気のこどもたちと家族の支援のためにさまざまな活動をしているNPO法人。興味があったらホームぺージをチェックしてみてね。わたしたちファシリティドッグの活動報告も見られます。

 

シャイン・オン!キッズ
http://sokids.org/

 

認定NPO法人シャイン・オン・キッズ村田夏子さんとアイビー


Text by Miyako Akiyama, Photos by Masahiro Heguri(カウンタック写真部)

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