フランス・パリで20余年。ずっと猫と暮らしてきたフォトグラファーがパリの素敵な猫と人と出会い、20の質問をたずねます。第13回は岩手県からパリまで長い旅をした猫の「さざゑ」の物語です。
1. あなたの名前と職業を教えてください。
町田ももみ
フランスのコンサルティング企業で働くほか、日仏翻訳や民族舞踊(岩手の神楽)の海外公演の企画をしています。
2. あなたの猫の種類、名前、年齢を教えてください。
雑種(サビ猫)のメス、さざゑ、2歳5カ月です。
3. あなたの家はどんなおうち?
パリ12区で、比較的大きなワンルームの集合住宅に住んでいます。
1969年に建築された近代建築の10階で南向き。窓からは新宿のような風景と、遮るものが何もない広い空が見えます。
4. あなたの猫とはどのように出会いましたか?
2011年の震災後から岩手に通っていまして、そのご縁から、2019年9月に釜石市の猫カフェ兼保護猫施設「アンドゥ」を訪れました。そこには20匹くらいの猫がいて、おやつ欲しさに騒がしく寄ってくるなかで、病弱でか細い「さざえ」だけは、キャットツリーの上から、寂しげに下を見ていたのが印象的でした。その姿がフランスに戻ってからも気になって、施設に連絡をして譲ってもらうことにしました。
その年の10月23日、7か月の時に東京の実家経由でパリに到着。新しい人生を迎えるので、少しだけ名前を変えて「さざゑ」としました。
5. あなたの猫の平均的な1日は?
8時ごろ起きて、ごはん。その後ゆっくり昼寝、夜は散歩、など。
最近は朝3時半~4時に目が覚めて、見た目とはうらはらのだみ声で「ゴハーンゴハーン」と鳴いたり、コードを引っ張って私が起きるまで何度も音を出したりするのです。朝は小一時間ほどキャットツリーの上に登って“ニャルソック”、その後お昼ご飯をはさんで夕方までごろごろして。夜はひとりで、または(私も一緒に)ふたりで運動会です。
6. あなたの猫の普段のごはんを見せてください。
ある分だけ丸飲み・早食いしてしまうので、獣医さんのアドバイスにより知育玩具のフードボウルを使っています。
7. あなたの猫の特別な日のごはんはどんなもの?
日本のカリカリ、または魚のオーブン焼きのおすそ分け。
8. あなたの猫のおやつはどんなもの?
虫歯予防のおやつと日本製のおやつ。
9. あなたの猫の大好きな居場所を教えてください。
手作りのキャットツリーの上とハンモック。
10. あなたの猫の大好きなおもちゃはなんですか?
カエル、バネ、ひも付きのオモチャ。
11. あなたの猫はどんな性格?
猫カフェの店員でしたので、たとえば水道点検のおじさんのような知らない人にもやさしく接します。ときにツンデレで好奇心旺盛。おしゃべりで、猫らしい猫です。
12. あなたの猫の特技は?
特技なのかわかりませんが、ドナルドダックのようなだみ声が特徴的です。ほかには、おもちゃを投げると取ってきてくれるんですよ。
13. あなたにとってあなたの猫はどんな存在ですか?
もはや私自身より大事な存在です。前の猫を2015年に亡くして以来、もう一生猫は飼わないと思っていたのですが、気づいたら、さざゑに選ばれていたようです。
14. あなたの猫のここがかわいい!とひとつ挙げるならどこですか?
まんまるの目。
15. あなた自身とあなたの猫は似ていますか? 似ているならどんなところが?
私は戌年なので性格は似てないと思います。あごのほくろが私との共通点です。
16. あなたの猫はあなたのことをどのように思っていると思いますか?
やたらと大きい姉と思っているはずです。
17. あなた自身の猫歴を教えてください。
フランスに来た翌年の1997年から2015年まで、Zazoueと言う名の雌猫が相棒でした。お父さんがシャルトリュー種で、グレーの雑種猫。フランスの良家生まれだったせいか気取っていて、フランス女のような激しい性格でした。日本の港町で保護施設に生まれたさざゑとは、育った環境や性質がずいぶん違っていて、その比較がまた楽しいです。
18. あなたとあなたの猫の一番楽しかったエピソードを教えてください。
これまでのコロナ禍におけるステイホームもさざゑのおかげで毎日楽しく過ごせました。一番楽しかったのはさざゑが長旅を経て飛行機でパリに到着し、うちに着いた時のこと。とりあえずごはんを食べた後、ぐるぐるとひと通り家の中を観察して、そのままベッドの真ん中に文字通りバタンキューと倒れ、朝まで眠ってしまったんです。これから始まる生活が楽しくなりそうでわくわくしました。
19. あなたの猫はあなたの生活、意識に何を与えてくれますか?
ほほえみ、やさしさとリズム。
20. 悲しいことですが、あなたの猫があなたのもとを去る日がいつか来ます。どんな風にお別れしたいですか?
小さい頃は病弱でしたが、今はほぼ完治していますので、これからも元気で長生きしてほしいです。避けられない最後の日は前の猫と同じように、そばにいて、「良く頑張ったね」「遠くから来てくれてありがとう」と伝えたいです。
Text and Photos by Manabu Matsunaga, Edit by Miyako Akiyama
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