愛犬と一緒に 「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」ステイ

トラベルライターの長谷川あやさんが愛犬とともに話題のホテルにステイ。今回は富裕層の間で話題になっているスーパーラグジュアリーな宿へ! 秋の御代田へ旅してきました。

 

 

レストランの「ひらまつ」、ご存じですよね? 「ひらまつ」の歴史は、1982年西麻布に1軒のフランス料理店をオープンしたことにさかのぼります。現在では全国に30店舗以上のレストランやカフェを展開。2016年からは「滞在するレストラン」をテーマにホテル事業へ本格的に参入しました。今回、ご紹介する「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」(以下、「ひらまつ御代田」)は、その「ひらまつ」が2021年3月に長野県御代田町に開業した宿泊施設で、「ひらまつ」が手がける6施設目のホテルとなります。

「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」。28の客室と9棟のヴィラ、全37室すべての客室に南向きのテラス、そして、温泉を運んだ半露天風呂を備えています。

ここは「ひらまつ」自慢の料理を、その世界観の中で心ゆくまで堪能できる宿泊施設、といえばわかりやすいでしょうか。美食とワインを堪能して、お腹が満たされたらあとはもう寝ればいい──。そんな人生のご褒美のような時間を過ごすことができるのです。決してお安くはありませんが、たまには贅沢したってバチは当たらないんじゃないでしょうか。

本館のエントランス。縄文時代から人が住んでいたことがわかっている御代田では、多くの遺跡も発掘されています。エントランスを入ったところには敷地から出土した縄文土器が、客室にも御代田や青森出土の縄文土器のかけらが飾られています。

各ホテルは、それぞれのコンセプトを打ち出していて、たとえば、京都の施設は、1899(明治32)年上棟の京町家を、「京都をしつらえる」をテーマに大幅な改修と増築を施しています。

で、「ひらまつ御代田」のコンセプトといえば、「森のグラン・オーベルジュ」。6万平方メートル(東京ドーム1.5個分!)という広大な敷地に、28の客室(屋内99~132平方メートル)とレストランやラウンジを有する本館、9棟のヴィラ(屋内122平方メートル)、そしてアクティビティのためのアネックス棟を配しています。

そのヴィラですが、「ひらまつ」のホテルでは初となるキッチンを備えていて、また、うち2棟は犬とステイできるドッグヴィラスイートなんです! この話を耳にした時は、「え、ひらまつのホテルに、愛犬と行けるの⁉」と俄然、前のめりになってしまいました。

そして、この秋ついに、“愛犬と「ひらまつ御代田」に出かける”という夢が叶ったのです……! 結論を先に言ってしまえば、かなりの極楽体験だったわけですが、いったいどんな時間が過ごせるのか、ご紹介させてください。自慢にならないように頑張るので、ついてきてくださいね(笑)。

 

まず御代田という場所について。あまり聞きなれないかもしれませんが、軽井沢の隣町です。軽井沢より地代が安価なこともあり、ここ数年、都会からの移住者が右肩上がりで増えているのだとか。また、縄文土器が出土するという地でもあり、「ひらまつ御代田」のロビーや客室にも縄文土器や縄文土器のかけらが飾られています。

本館のロビーラウンジ。館内の随所にアートが飾られているのも印象的でした。

チェックインは本館のロビーラウンジで行います。このラウンジのテラスから望む、八ケ岳から北アルプスの山並みはなんともドラマチック! 浅間山の裾野に広がる御代田エリアは高低差があり、「ひらまつ御代田」も標高940mの小高い丘の南向きの斜面に位置しています。そんなわけで日当たり良好! 景観のドラマチックレベルも群を抜いています。

ヴィラスイートの外観です。いかに贅沢なつくりかおわかりいただけるかと!

で、ドッグヴィラスイートですが、車寄せがあるのです! 到着後は車で本館エントランスまでいくと、カートが先導してヴィラスイートまで案内してもらえ、客室でチェックインというかたちになります(その他のヴィラはバレーサービスで車を預け、カートでヴィラまで案内してもらい、チェックインするそうです)。まさに別荘モード! 私は公共の交通機関とタクシーを利用したため、本館フロントから、愛犬とともにカートでヴィラまで送ってもらいましたが、テーマパークのアトラクションのようで、わくわくが止まりません。新幹線やタクシーの中ではおとなしくしていた愛犬も、「どうやらすごいところに来たみたい」と察したのか、きゃんきゃん言い始めました。飼い主の私も、非日常へと誘われるようでテンション爆上がりです(笑)。

ドッグヴィラスイートでは、犬の脚にやさしい、滑りづらいフローリングを使用しています。

肝心の部屋ですが、「広っ!」と思わず口に出てしまいました。屋内だけで122平方メートル、テラスを含めて、181.7平方メートルと、私の家より遥かに広いスペースに犬は、目をパチクリ。そして、単に広いだけでなく、人間にも犬にも快適に過ごしてほしいという思いの詰まった、素敵な客室でした。それだけで文字数を使い果たしてしまいそうなので、簡単にご紹介させていただくと──。

ベッドルームは2つ。「こんなところに住んでみたいね」と、何度も愛犬に話しかけました。叶わぬ夢だとわかっていても言霊に期待したりして。

リビングを挟んでベッドルームは2室。今回、私はひとりだったので一方の客室は使いませんでしたが、ファミリーや、犬連れの友人と訪れても間違いなく楽しいはずです。ちなみにドッグヴィラスイートは、人間は4人まで、中型犬なら1匹、小型犬なら2匹までが滞在できます。そして10月より、ケージを追加することで最大で中型犬2匹、または小型犬4匹まで可能になったそうです。(追加料金あり)

お借りしたワンコのかっこいい広報写真と、オムツ姿がラブリーな我が愛犬、ケリー。

さて、ケリーは、リビングの大きなソファが気に入った様子。部屋に入って自由にするとすぐに飛び乗りました。人間2人くらい余裕で寝られそうなソファは、なるほど座り心地抜群です。……お高いんだろうなあ。というわけで、万一のために紙オムツを履かせることにしました。自宅ではちゃんとトイレができる愛犬ではありますが、旅先ではトイレをトイレと認識せず、失敗したり、朝の散歩まで我慢してしまうことも。そんなわけで、今回の旅に備え、100円ショップで購入しておいたのです。オムツは初装着でしたが、すぐに慣れたようで履きこなしていました。というかオムツ姿、かわいいんですけど!

おむつ姿でキメ顔のケリー、7歳、生娘です。

すみません。話が逸れました。すっかりソファがお気に召したケリーさん、私が仕事をしている間も隣でまどろんでいました。こんなソファ、買ってあげたいけれど、ごめんね、たぶん気軽に買える値段じゃないだろうし、仮に購入できたとしても置く場所がないんだよ……。

客室には、ケージ、ベッド(シモンズ製!)、フード&お水用ボウル(1匹につき1セット)、トイレシート、トイレシート専用ゴミ箱、消臭スプレー、おやつ、おもちゃなど、ひと通りのものが取りそろえられています。長野産のおやつやおもちゃに、「ひらまつ」のこだわりを感じました。

このテラス(左)の下に広すぎて戸惑うくらいのドッグランが。愛犬は最初、状況が飲み込めないようでした(右)。

で、わかっちゃいたけど、テラスも広い! その下にはテラスから直接アクセスできる、専用のドッグランもあります。その広さ、なんと50平方メートル。笑えるほど広いです。早速、愛犬を放ってみたものの、「ここで遊んでいいの? 本気で言ってる?」と、自分が置かれている状況が飲み込めない様子でしばし固まっていました。こういう時は思い切り遊んでほしいんですけど(笑)。わかったわかった、ママが一緒に遊んであげるー。

半露天風呂は自動で温度調節されており、いつ入っても適温でした。私のようなぐーたらにはうれしい限り。

愛犬と全力で遊んだあとは、温泉にざぶん。「ひらまつ御代田」では、すべての客室に、長野県上田市の大塩温泉の湯を運んだ、半露天風呂が備えられています。ガラスの窓は開放できるようになっていて、もちろん、意気揚々と開け放ちます。私が泊まった客室は窓が2方向に開けていて、これを森林浴と言わずして何を森林浴というのでしょうか(笑)。しばし愛犬の存在を忘れていたことを告白します。

ケリーはどうしていたかって? ドッグヴィラスイートの客室内でも、犬は浴室と人間の寝具は使用することはできません。「慣れない環境なので、私が浴室に行ってしまうと騒ぎ出すかしら?」と心配したのですが、幸か不幸かケリーはお風呂嫌い(笑)。途中まではついてきましたが、浴室の水の存在を認識すると、すごすごとリビングに戻っていきました。

部屋の前、そしてドッグラン側には足洗い場がありました。足跡付きです。かわゆす! 温水もちゃんと出ます。

お風呂から上がったら、日が傾き始めてきましたよ。ケリーを連れて、「TAKIBIラウンジ」へと繰り出すとしましょう。じつはケリーは、焚火を間近で見るのは初めて。犬同伴可能なグランピング施設でも、焚火エリアは犬NGにしているところが多く(というかそういうところにしか行ったことがなかった!)、チャンスがありませんでした。

「TAKIBIラウンジ」。夕方になるとまきに火が灯されます(雨天時はのぞく)。初めての焚き火をガン見中のケリー。

「TAKIBIラウンジ」では、すでにほかのゲストの方たちが火を囲んでいました。アペリティフとしてホットワインや白いサングリアがふるまわれます。この時、ほかの犬はおらず、唯一の四つ足歩行の動物である、ケリーはまさかのアイドル状態。ほかのゲストの方に撫でてもらったり、写真を撮ってもらったりしてご満悦です。焚火は恐る恐る、しっかり一定の距離を置いて凝視していました。が、私がお願いしたサングリアが運ばれてくると、興味はこちらに(笑)。ごめんね、君は飲めないんだよ……。

客室内のサークルは広々。ケリーさんも快適そうです。

そろそろ暗くなってきました。お待ちかねのディナーに行くとしましょう。メインダイニングがある本館には愛犬は入れません。客室でサークルの中に入ってお留守番してもらうわけですが、このサークルがまた広い(笑)。お気に入りのキャリーも余裕で入ります。

このりんごチップス、かなりお気に召した様子。千切れんばかりに尻尾を降って、なかなかのがっつきぶり。おかわりを要求してきました(笑)。

ごはんを済ませ、部屋を出る時には、部屋にあったおやつを少しあげることにしました。客室には、りんごのチップスと鹿のジャーキーがセットされていたのですが、いずれも長野産。地産地消への並々ならぬこだわりを感じます。

人間様のおやつはあげ餅と麦チョコです。食べだしたら止まりません(笑)。ちなみに麦チョコは御代田が発祥で、客室に用意されているのも、日本で最初に麦チョコを生みだしたレーマン社製です。

さあ、いよいよ人間様(私)のディナータイムです!

ひらまつ御代田のシェフを務めるのは、東京やパリのひらまつ各店で研鑽を積んだ柳原章央さん。2年半もの時間をかけて、近隣の生産者やワイナリーを回り、「ひらまつ御代田」でしかできない料理を探求してきました。

私が訪れた10月上旬のメニューは、オマール・ブルーやフレッシュなフォアグラ、さらに甘鯛など、フレンチではおなじみの食材や、高級食材がずらり。付け合わせには地元で採れた野菜がふんだんに使われており、主役に負けずとも劣らない存在感を発揮していました。

みなさんの楽しみをそがない程度に、というかスペースの都合上、簡単に紹介すると、化石発掘をイメージした、おちゃめなアペタイザーや、天竜川の稚鮎とりんごを合わせた一品など、ひとつひとつのお皿がアーティスティックで、そして美味しい(重要)。ミネラル豊富な信州の土地で育った白土馬鈴薯のムースにオマール・ブルーをのせた料理も印象的でした。殻の中に軽井沢産の白マイタケが潜んでいるのも粋です。

どのお皿も美しく、そして美味しい。付け合わせの野菜はほぼ地元のものを使っているそう。

メインはじっくり低温で火入れした信州プレミアム牛のロースト。付け合わせのピュアホワイト(生で食べられる糖度の高いとうもろこし)の甘みともよく合います。

シェフの、御代田周辺の食材へのあふれんばかりの愛情を感じるメニューに、一皿ごとに心で歓声をあげていた私です……。そして、料理の美味しさはもちろん、レストラン全体に流れる幸福な空気感に酔いしれました。みなさんとても楽しそうに食事をしているんです。もちろん私も負けずに楽しみましたよ! ひとりでシャンパンも頼んじゃったりして。

お腹も満たされ、シャンパンもいただき、すっかりほろ酔いです。もう仕事なんてできません(笑)。寝るのがもったいないと思いつつも、睡魔には抗えず、客室に備えられていたバルミューダのスピーカーで音楽を流しながら、メールチェックもほどほどに眠りにつきました。とはいえ、夜が明けていく様子はぜひ見たかったので目覚ましは5時半にセットします。

ケリーは、ベッドルームに備えられた、お犬様専用のシモンズのベッドがすっかり気に入ったようで、「私、ここで寝るー!」とばかりにベッドに上がっていきました。

部屋にあったおもちゃを引き連れてベッドイン。

そして、翌朝。目覚ましは必要なく、ケリーのきゅんきゅんという声で目が覚めました。そろそろ夜が明けると教えてくれたわけ? それともお腹がすいた? 東京だったら不機嫌になるところですが、リゾートだと早く起こされても、ご機嫌に目覚めることができるのが不思議です。

すべての客室には、コヒーミルとハンドドリップのコーヒーメーカー、地元の「珈琲焙煎工房 豆玄」のコーヒー豆が備えられています。

まずはミルで豆を挽いてコーヒーを淹れます。森の澄み切った空気の中、テラスでコーヒーをいただきながら愛犬と戯れる──。「リア充」という言葉が脳裏に浮かびました(語彙力……)。というか、この時間は、私の2021年の幸せな時間、上位ランキング入り、間違いなしです。

「森の散策路」をお散歩。落ち葉を踏みしめる感覚、楽しいよね〜。ケリーもゴキゲンです。

コーヒーを飲み終わったら、「森の散策路」をお散歩しましょうか。森に囲まれた、ウッドチップや土の上など、いつもとはかなり違う環境でのお散歩を、愛犬は一足一足踏みしめるように楽しんでいました。私がそろそろ帰ろうと引き返そうとしても、「せっかく来たんだし、もっと歩く〜」と帰ろうとしません。木漏れ日が降り注ぎ、草の香りに癒されながらの、森の散策はたしかに気持ちよくて、あっという間に時間が経っていました。そろそろママは、朝ごはんに行きたいのよ!

5階のテラス。晴れた日のここからのビューは感動ものです。

朝食は本館5階のオールデイダイニングでいただきます。この朝食がまた、地元の野菜の博覧会の様相でして、15種の野菜を使ったスープを筆頭に、季節のサラダも、温かいメイン料理も野菜たっぷり。食べていて体が目覚めていくのを感じました。

野菜たっぷりの朝食は、パンを食べ過ぎても罪悪感がありません(笑)。

自家製のパンも美味ですし、なによりシチュエーションがスゴい! ただでさえ高台に位置する「ひらまつ御代田」の、5階のテラスからの景観は印象派の絵画のように、美しく、ドラマチックです。なお、朝食はモーニングバスケットをオーダーして、客室や敷地内でいただくことも可能。愛犬連れならこちらの選択もありかもしれません。でもダイニングからの景観や野菜三昧のコースも捨てがたいところでして。いっそ2泊しちゃいます?

ちなみに、今回は利用しなかったのですが、ディナーもヴィラ客室やプライベートガーデン、テラスでいただくことができます。犬連れの旅なら、森に包まれたヴィラで、ストウブ料理をメインとしたコース料理をプライベートな空間でいただける「フォレストダイニング」プランも気になるところ。10月中まではヴィラのお庭やテラスにしつらえたテーブルでのディナーも選択可できます。11月からは暖炉の灯った暖かな客室で味わうシェフ厳選の「冬ごもり鍋」の提供もスタートしたのだとか。もう食べたいものだらけです……。愛犬と一緒に過ごしたい方や、連泊でバリエーションある食体験を希望する人にもおすすめです、って、私もかなり気になっています(笑)。

帰りたくないのか、紅葉を眺めながら黄昏る愛犬……。

朝食を済ませたあとは、チェックアウトの11時ぎりぎりまで、ドッグヴィラスイートを満喫しました。根性を出して、チェックアウトの15分前まで温泉に入ってましたよ(笑)。なお、ヴィラタイプの客室では、チェックアウトや精算も客室で済ませることができます。ヴィラの前にタクシーをつけてもらえるのもありがたかったです。

部屋をあとにする時、気のせいか愛犬も名残惜しそうでした。帰路のタクシーで、ケリーと「また絶対に戻ってこようね」と誓い合い、愛犬家で美食家の友人に、「今度一緒に行こうよ!」と、早速メールを送った次第です。既読スルーされたけど、やっぱり自慢に思われたかしら(笑)。

 

THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
長野県北佐久郡御代田町大字塩野375-723
0267-31-5680(代表)
https://www.hiramatsuhotels.com/miyota/


Text and Photos by Aya Hasegawa, Edit by Miyako Akiyama

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