メモリアル vol.08

今回は悲しいお報せをしなくてはなりません。cachetteの看板犬としてイベントのホスト役や、モデルを務めてくれていたテオが今年8月に急逝してしまいました。おとなしくて、ちょっぴりボーッとしていたテオはスタッフのみんなに愛されていました。その生涯と、最期の様子をテオのパートナーであり、cachetteのプロデューサーである須賀佳澄が語ります。

 

vol.08 須賀佳澄&テオ(ポメラニアン、6歳8か月)

 

cachetteオフィシャルブランドでもある「DIGDOG DESIGN」で撮影してもらったテオ。

テオが生まれたのは2014年11月28日。保護犬なのに誕生日がわかるのは珍しいかもしれません。愛知県の犬舎で牡の繁殖犬として使われていたところを保護団体に保護され、私と出会いました。この出会いは、私がテオを「選んだ」というより、「選ばれちゃった」というほうが正しいような……そんな出会いでした。

保護団体から引き取り初日のテオ。顔は汚れ、歯はボロボロ、耳の中は真っ黒だった。

この日、私は「cachette」のリサーチのため、保護犬施設をまわっていました。そもそも「cachette」は、私が社内の新規事業コンペで提案したプロジェクトです。犬と猫の飼い主さんたちが集まって、上質なごはんやすてきな雑貨類の情報を共有したり、交流したりできるようなコミュニティを作りたいと考え、承認が降りたのが2017年のこと。このころすでに保護犬(猫)活動は活発になっていましたし、新しいサービスを作るなら、保護犬(猫)活動に心を寄せるサービスでありたいと、この日も保護施設を見学に来たのでした。

引き取られるまでずっとケージの中で過ごしていたせいか、どちらかというとインドア派だったテオ。

と、一匹の真っ白なポメラニアンがトコトコ……と私のところにやってきて、膝の上に乗ったきり、離れようとしないんです。そのうちスヤスヤと寝てしまい、そのころには私もこの犬を引き取ろうと決心していました。私がテオを選んだのではなく、テオが私を選んだのではないか、と思うのはそんな経緯があったから。テオの誕生日が、以前飼っていた柴犬の亡くなった日であったことも、私の決心を後押ししてくれたかもしれません。

生まれて初めて目にした海にこの表情!

テオという名前は、画家ゴッホの弟の名前であるTheoから。ゴッホとテオが生涯を通じて仲の良いパートナーであったように、私にとって良き相棒であってほしい。そんな気持ちから名付けました。とはいえ、初めて迎えた保護犬にはいろいろ驚かされることもあり、大変でした。たとえば、ずっとケージの中で暮らしていたせいか、歩き方が下手でまっすぐ歩けない。おもちゃでうまく遊べない。そして無感動というか……家に迎えてしばらくは、感情の起伏も通常の犬と比べたら小さかった印象です。

一緒に出かけた軽井沢、白糸の滝にて。

引き取ったころのテオは3歳8か月。せめてこの後の日々を愛情深く、楽しいものにしてあげたい。その一心でずっと一緒に過ごしてきました。テオの好きなものは「寝ること」「食べること」、そして「私」。感情が表に出てくるようになってからは、私の姿を見るとニコニコして、いつも全身全霊で「大好き!」と伝えてくれていました。

cachetteでモデルを務めていたテオ。須賀が席を外すと、ドアのところでじっと待っていた。

色々な経験をさせてあげたくて、仕事現場や友人たちとの集まり、旅行、海水浴、そして友人の結婚式まで、連れて行けるところには必ず一緒に出かけました。cachetteのサービスを開始してからは、モデル犬としての活動も始まりましたが、おっとりしていて、あまり活動的ではない(笑)テオはモデルも上手に務めてくれて、スタッフのみなさまにも可愛がっていただきました。cachetteのオープニングイベントや撮影に参加してくださったみなさんにも、テオと仲良くしていただき、とても嬉しかったです。この場を借りて心より御礼申し上げます。

cachetteオフィシャルブランド「WANCOTT」のボールプールで遊ぶ(溺れている?)テオ。

そんなテオに異変が起きたのは、やはりcachetteの撮影でモデルを務めてから2日後のことでした。ちょっと具合が悪そうにしているので、かかりつけのクリニックに連れていったところ、「胆嚢に異状がありそうだ」ということで。ちょうど一週間前の定期検診(とくに持病があったわけではないですが、元保護犬で身体が丈夫ではないし、犬猫はあっという間に容体が悪化することを知っていたので、月に一度は必ず検診に行くようにしていました)に連れて行ったときには何もなく、「健康です」と言われていたのに……。しばらく内服薬で治療をしながら様子を見ようと連れ帰った次の日の夜、急に発作をおこし、そのまま深刻な状態に陥ってしまったのです。かかりつけのクリニックには連絡がとれず、24時間営業の動物病院に数か所電話するも、どこも引き受けてくれず、私は知人の獣医師らに電話をかけて……もうパニックでした。

結局、なすすべなくそのままテオは逝ってしまいました。苦しんだ時間が短かったことだけが幸いでしたが、それにしても6年8か月という日々は短すぎます。生まれてから3年8か月をケージの中で過ごしたテオの、後半生3年を私はともに暮らしましたが、テオは幸せだったでしょうか? 周囲のみんなは「テオは幸せだったよ」と言ってくれますが……。

テオを偲び、いつも撮影していた筒井義昭氏がとくに気に入っている2点をフレームに納めてくれた。

私はこのあと結婚もするだろうし、子育てもすることになるかもしれません。そんなとき、テオにはリングドッグ(結婚式でウエディングリングを運ぶ犬)も務めてほしかったし、子育ても一緒にしてほしかったのに。もっと長く続くはずだったテオとの日々を考えると、後悔と悲しみにおそわれて、いまも涙がとまりません。テオにとっては私が唯一の存在だったし、こんなに一途に愛されることは私の人生において、もうないでしょう。私も現在の一人暮らしの状態でもう犬を飼うことはありません。私だけの犬はテオだけ。そう心に決めています。

 


Text by Miyako Akiyama

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